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浮雲(1955) ★★★★★

浮雲 ukigumo

【解説】 太平洋戦争のさなか、ベトナムの占領地ではぶりをきかせていた男(森雅之)が事務員のゆき子(高峰秀子)と結ばれる。しかし戦後帰国した彼には妻があり、やがて女は外国人の愛人にまで堕ちていくが、それでもふたりは別れられないままズルズルと関係を続けていく…。

【感想】戦後、浮雲のように方向性を見失い流されるままに堕ちていく日本を象徴するかのような男女関係。
富岡を演じた森雅之は男前でニヒリズムを感じさせ太宰治のようだった。演出もあるんだろうけど、高峰秀子の視線と表情。「奥さん」と言われた時の表情、そして屋久島での最後の富岡を見送る視線。理由は分からないんだけれども、例えようのない素晴らしさだ。

ダメ男から別れることができずダラダラと愛し続けてしまうのが性というのなら、大切な女性の存在に気付かないのも人間の性なのかも。
忘れ難き傑作であるフェリーニの「道」とラストが似てるけれど、男性のタイプが違いますからね。「道」は粗野な男だったけど、「浮雲」は自堕落な男性。この手の映画は過去の苦い感情を呼び起こさせるし、悪い点数をつけることができないなぁ…。今後、「浮雲」の名前を聞く事があれば、同時にこの名言を思い起こすことにしよう。

- 何かを愛するには、それを失う可能性を実感すればよい。- G.K.チェスタトン

浮雲 / Floating Clouds
監督:成瀬巳喜男(Mikio Naruse)
出演:高峰秀子, 森雅之, 中北千枝子, 岡田茉莉子
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流れる(1956) ★★★★

流れる 成瀬巳喜男


【解説】幸田文の同名小説を元に芸者置屋に集う女たちの悲喜劇を描く。梨花は柳橋界隈の花街にある“つたの家”に女中として住み込み始めるが、店は女将・つた奴の借金のために次第に傾いていく。

【感想】プライドを持った芸者置屋はまさに今の日本のようだ。かつての栄光があり、人間関係がぎくしゃくしている。
映像美、演出は流石巨匠といったところ。古い邦画をたまにしか見ない自分でも豪華だとわかる女優人。意地悪で憎めない杉村春子や貫禄のあった栗島すみ子の存在も良かったけど、特に光るのが田中絹代の演じる梨花。秘めた強さと品の良さ、そして母性。
最近亡くなった高峰秀子さんをやはり特別な目で見てしまう…時代の流れ。そして、この映画の救いはやはり一人娘の高峰秀子さんの姿勢だと思うんです。ラスト近くで梨花が「偉いねぇ」と褒めていたが、プライドとか関係なく、悩みながらも逞しく生きていこうとする姿勢は美しい。ミシンと三味線のハーモニーを聴いていると、無常なる流れを感じ言葉にならない哀しさが込み上げてきた。

流れる
監督:成瀬巳喜男
出演:田中絹代、山田五十鈴、高峰秀子、杉村春子、栗島すみ子

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